CIVIC ECONOMY LAB

私たちが小さな経済を生み出す方法

第1回 シビックエコノミーラボ ゲスト:北池智一郎さん(株式会社タウンキッチン代表取締役)

2016年6月26日(土)第1回シビックエコノミーラボを開催しました。

講師は『日本のシビックエコノミー』の編著者である江口晋太朗さん。ゲストに株式会社タウンキッチン代表取締役の北池智一郎さんをお招きし、活動のスタートから、現在に至るまでの過程、そしてこれからのタウンキッチンについてお話しいただきました。今回は、そのイベントの様子をレポートいたします。


まず最初に講師の江口晋太朗さんより、「シビックエコノミーとは何か」「なぜシビックエコノミーが必要なのか」について、簡単なレクチャーをしていただきました。

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その後、参加者のみなさんに3・4人で1組になっていただき、自己紹介やアイスブレイクをしたのち、

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お待ちかね、本日のゲスト、北池智一郎さんのお話が始まりました。

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まず、最初に簡単な自己紹介からスタート。

大阪出身で、大阪の大学を卒業した北池さん。

いきなりタウンキッチンを始めたわけではありませんでした。新卒で大手印刷会社に入社し、その後、外資のコンサルティング会社やベンチャー企業に転職。

ベンチャー時代は、コンビニチェーン、牛丼チェーン、ハンバーガーチェーンなどのコンサルティングをしていました。多忙な毎日を過ごし、帰宅が夜中になることも日常茶飯事。温かいご飯とみそ汁、そして魚とホウレンソウのおひたし。そういったものを食べたいのに、深夜に営業しているのは、コンビニ、ラーメン、ハンバーガー、牛丼といったチェーン店しかないという現実。

北池さんは、次第に仕事とプライベートの分離に葛藤を覚えるようになってきたといいます。

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経済的な合理性を追求していくことで、低価格で商品を提供することが可能となりますが、果たしてそれだけでいいのか。

これからの時代、物質的な豊かさだけでなく、精神的な豊かさも、追求していく必要があるのではないか。そう思い、北池さんは2008年に会社を辞め独立しました。

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この写真は東京都内のハンバーガーチェーンの店内の様子です。時間は午後5時40分。お客さんはほとんど子どもです。

塾帰りの子どもたちが、夕方の5時40分にみんなハンバーガーを立ち食いしている、この日常の風景に北池さんは違和感を覚えます。この子たちの晩ご飯はどうなっているのか、と。

共働きの家庭では、塾がはじまる時間に両親が家におらず、子どもたちの食生活は、ある日はハンバーガー、ある日はコンビニ弁当、といった日々を送っています。

北池さんは、それ以外の選択肢となる新しい仕組みを妄想していました。

その妄想というのは、地域の真ん中に「タウンキッチン」、台所をつくってしまうということ

地域には時間に余裕のある元気なお母さんがたくさんいます。そういう地域のお母さんと、共働き世帯の子どもをマッチングさせれば、違う選択肢として喜ばれるのではないか。

北池さんはそう考えました。

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そんな妄想を色々な方に話す中で、地域のご縁から、学童向けのお弁当配達事業をはじめることになった北池さん。そして、2010年11月に小平市で始めた「学園坂タウンキッチン」を皮切りにタウンキッチンの活動が本格化していきます。

以下、北池さんが紹介してくださった株式会社タウンキッチンの多種多様な活動を簡単に紹介していきます。

学園坂タウンキッチンは東京都小平市の学園坂商店街の空き店舗を利用した地域が繋がるコミュニティ拠点です。

現在は、食の小商いプロジェクトとして、シェアキッチン(インキュベーションキッチン)で、10名弱のお母さんが商売をしています。趣味とビジネスのちょうど間の感じ=小商い。そういう働き方があってもいいんじゃないか、と北池さんは考えています。

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小金井市では、公共施設を使用したKO-TO(コート)というシェアオフィスを運営しています。トークイベントや創業塾、創業スクール、勉強会、ゼミなどを開催し、地域資源やネットワークを活用し、これからの社会に必要な事業を創造していく新しいビジネスの拠点となっています。

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こちらは立川のTXT(テクスト)というシェアオフィス。

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東京学芸大学に地域連携を目的としたnote cafe(ノートカフェ)というカフェを運営しています。「大学というのは、地域の人にとってすごく近くて遠い存在だった」と語る北池さん。今では地域の人と大学の先生とで「まちのカルチャーカフェ」というトークイベントを月1本開催しています。

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CO-舎(コーシャ)は「シェアする地域の教室」です。学園坂タウンキッチンは飲食のインキュベーションですが、こちらは教室やお稽古事、塾などのインキュベーションとして地域の方々に利用されています。

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最後に北池さんはまとめとして次のようにお話しいただきました。

「私がつくづく思うのは、地域の暮らしというのは誰かにつくられているわけじゃないということ。地域の様々な問題に対して、どうしても誰かのせいにしがちですが、大企業であれ行政であれ、限られたお金の人材のなかで、どうしていいのかわからない、というのが正直なところなんじゃないかなと思っています。

結局、そういった問題に気づいてしまった人が、自分ごととして取り組むしかないように思います。それって「おせっかい」ですよね。そうした一人ひとりのおせっかいが、地域の暮らしをつくっていると思います。

シビックエコノミーって、ちゃんと経済も回しながら、おせっかいを仕組みにしている活動のことなんだと思います。そういう方々が地域に増えてきているように思いますし、今日のような場を通して、新しいおせっかいが地域に増えてくるといいなと思います。」

北池さんのお話が終わると、参加者の方の振り返りと質問タイムがありました。

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参加者の中には、地域での活動を実践なさっている方や行政関係者もいて、みなさんメモを取りながら真剣にお話を聞いているのが印象的でした。

 


【第1回目 ゲストプロフィール】
北池智一郎さん(株式会社タウンキッチン代表取締役)
1976年大阪生まれ。大阪大学工学部を卒業後、 コンサルティングファームの朝日アーサーアンダーセン(現プライスウォーターハウスクーパース コンサルタント)にて中央省庁、国立・私立大学などに対する経営戦略策定、人事制度・組織設計、業務改革などを従事。2005年より、人材系ベンチャーにおいて、大手ファストフードチェーンやコンビニチェーンをはじめ、多くの外食・小売業に対する教育研修・コンサルティングを実施。店長、 SV向け教育研修、オペレーション改善によるコスト削減、人事制度設計、組織風土活性化支援、フランチャイズ本部構築、などの支援実績を持つ。
2008年に独立し、商店街起業研修講師や、SB/CBセミナー講師、企業向けの人材育成などに従事。2009年より任意団体TOWN KITCHENを立ち上げ、2010年7月に株式会社タウンキッチンを設立。現在、同代表取締役。多摩地域を中心に、まちに暮らす人たちが集い、関わりが持てる場づくりを行っている。